先日、子供とあけびを採りに行きました。
あけびを採っているともう秋が来たな~と
季節の移ろいを感じます。
今年は、サルにも発見されずに、
たくさんのあけびが実っていました。
ぱっくり割れてよく熟れたあけびを
子供たちはとても美味しそうに食べていました。
実はあけびは根っこから、
実まで全て利用できる万能な植物です。
そんな「あけび」に関することをまとめてみました。
あけび(木通)とは
あけびの特徴と種類
あけびは古くから東アジアの山間部に自生している、
アケビ科の蔓性落葉低木です。
あけびの実や新芽は昔から
その地域に住む人たちに食べられていました。
アケビの実は9月~10月頃大きくなり食べ頃になります。
実は6~10cmぐらいの卵を伸ばしたような形で、
色は黄緑色で、熟れてくると
品種や交配によって、白色や紫色になります。
果肉は白色の半透明でゼリー状です。
果肉の中に黒色の種がたくさん入っています。
食べた時の食感はねっとりしていて、
味はやさしい甘味がします。
日本の山間部には4種類のあけびと
あけびによく似た実を付けるムベが自生しています。
あけびは落葉樹ですが、ムベは常緑樹で実の色が赤紫です。
ムベは熟してもあけびのように実は割れてきません。
ムベの食べ頃はあけびよりも遅く、10月~12月です。

ムベの花

ムベの実
それぞれの葉と花の特徴
ミツバアケビ | 3枚の小葉、葉の縁は凸凹で波打つ。紫色の花。 |
アケビ | 5枚の小葉。白色の花に子房が紅色。 |
シロバナアケビ | 5枚の小葉。花も子房も白色。 |
ゴヨウアケビ | アケビとミツバアケビの雑種。5枚の小葉。紫色の花。 |
ムベ | 5枚のやや大きな小葉、常緑のつやつやした葉。熟しても実が割れない。 |
引用元:白岩先生の植物教室
近年、あけびは商品として出荷する為に
栽培されるようになりました。
ミツバアケビが他のあけびよりも果実が大きく
甘味が強いので、主に栽培されています。
あけびの産地は山形県で、
市場に出回っているあけびの9割は
山形県で栽培されているそうです。
名前の由来
あけびの語源の由来は
実が熟すと果皮が裂ける事から「開け実」
と呼ばれるようになったそうです。
また、あけびの木部は漢方で
木通(モクツウ)と呼ばれています。
あけびの蔓の切り口にたくさんの空洞があり、
そこから息を吹くと空気が通る事から
この漢字が当てられたようです。
参照元:語源由来辞典
あけびの食べ方
あけびの実の食べ方
あけびは熟すと自然に割れてきます。
皮が割れていない場合は、
薄く線が入っている所を探して、
その周辺を軽く押すと割れます。
それでも割れない場合は、
ナイフなどで切れ目を入れて皮を割ってください。
中に入っている白いゼリー状の果肉を食べます。
中に黒い種がたくさん入っていますので、
スイカを食べる時のように、口から種を
取り出しながら食べます。
あけびの果皮の食べ方
あけびの皮も食べる事が出来ます。
山形県の一部の地域ではあけびの皮を
使った郷土料理が人々に親しまれています。
味噌炒めや肉詰め、てんぷら、煮物など、
いろいろな調理方法があるようです。
→クックパッド(あけびのレシピ)
皮には苦みがありますので、
苦みが苦手な人は、
調理する前に、あけびの皮を切って、
沸騰したお湯で1分ぐらい茹でてから、
冷水でさらすと苦みが和らぎます。
あけびの新芽の食べ方
あけびの果肉や皮だけではなく、
春の新芽も山菜として東北地方では食べられています。
あけびの新芽のおひたし
1.あけびの新芽を水洗いする。
2.大きめの鍋にお湯を沸騰させ、あけびの芽をさっと茹でる。
3.苦みが気になる方は、一晩水につける。
4.あけびの芽をザルにあげて、水気を絞って器に盛る。
好みでお醤油やワサビ醤油、
うずらの卵を乗せて食べると美味しいそうです。
あけびの保存方法
生の実の保管方法
あけびは果皮が割れている物は
日持ちしないので、早めに食べます。
果皮が割れていないものは乾燥しないように、
一つずつラップで包むか、
ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管します。
3~5日以内に食べてください。
果皮を乾燥させて保管
あけびの皮は乾燥させて長期保管できます。
皮を、干し柿を干すように一つずつ紐で吊るして、
風通しが良い、雨風が当たらない場所に吊るして干します。
乾燥させたあけびを調理する場合は、
毎日水を変えながら、
1週間ほど水に浸して戻します。
そのあと、他の食材を合わせて、
煮物にするそうです。
山田養蜂場のリトルヘブンの記事に
乾燥させたあけびの皮を使った、
とてもおいしそうな「あけび煮」のレシピが
掲載されていました。
あけびの効能
あけびに特に多い成分は
ビタミンCとカリウムです。
あけびの果肉には100g当たり、
65mgのビタミンCが含まれています。
ビタミンCは疲労回復、肌トラブル防止、
風邪や感染症の予防に効果があります。
また、あけびの皮には100g当たり、
240mgのカリウムが含まれています。
カリウムには体内の過剰なナトリウムを排出して、
高血圧、脳卒中、動脈硬化の予防に
効果があります。
データ参照元:文部科学省日本食品標準成分表
その他の利用方法
生薬として利用
あけびの木部は「木通(モクツウ)」という
漢方名で知られています。
一般的には太く成長したつるを乾燥させて、
煎じて使用するそうです。
利尿、抗菌、抗炎症、抗潰瘍、脂質降下の
作用があるそうです。
また、乾燥させた実や根も漢方で利用されています。
浮腫、排尿障害、皮膚疾患、月経不順、母乳不足などの
症状に用いられているそうです。
参照元:日野製薬
工芸品としてのつるを利用する
あけびの蔓は非常に丈夫で、
昔からザルやかご、椅子などを作る
素材として使われていました。
あけびのつるの採集時期と下処理
あけびの蔓は葉がほとんど枯れ落ちた
11月から3月頃に採取します。
この時期に採取すると、
水を吸い上げていないので
虫が出にくく、腐りにくいです。
①なたであけびの蔓を切って集めます。
なるべく、地面に這っているまっすぐなつるを選びます。
②たわしなどで蔓に付いた
コケや土などの汚れを落とします。
③大鍋で煮て、完全に虫を排除します。
④太さ別に選別します。
⑤風通しの良い日陰で一年以上かけて
ゆっくりと乾燥させます。
使用する時は、水やぬるま湯に
乾燥したつるを浸けて、
柔らかくなってから編み始めます。
素材として使えるようになるまで、
これほどの手間と時間がかかります。
さらにそこから熟練の職人さんが
手作業で時間をかけてかばんやかごの
形に編んでいきます。
自然の素材で作られた物は一つ一つ違いますので、
個性があってとても素敵です。
そして、長年使っていくうちに、
ますます味がでてくるのも
天然素材で作られた物の魅力的だと思います。
あけびを育てる
あけびは耐暑性も耐寒性も強いので
日本各地で栽培できます。
あけびは雄花と雌花を同じ株に咲かせますが、
1本では受粉率が低いので、結実をよくするために、
違う種類の株を近くに植えて、受粉しやすい環境を作ります。
また、つるをどんどん伸ばして成長するので、
フェンスや支柱に誘引して、美しい形状を保つように
管理します。
植え付け時期は11月~2月で、
日当たりが良い場所に穴を掘り、
根をよく広げてから、植え付けます。
鉢植えの場合は一回り大きな鉢に
赤玉土7~8、腐葉土2~3の割合で混ぜた土を
入れて、植替えます。
あけびは紫や白の小さな花がとても可愛らしく、
葉の形もきれいで、とても強い植物なので、
生け垣やフェンスの植樹にぴったりです。
アーチ型など形を考えながら育てるのも
楽しそうですね。
まとめ
日本にもともと自生するあけびですが、
市場に出回らない為、あまり知られていません。
もし、散歩途中で見つけたら、とても幸運です。
少し変わった果物なので、
一度是非食べてみてくださいね。
スーパーでアケビが売られている所を
見かけたことはありませんが、
インターネットでは9月~10月頃に
販売されています。