先日、幼稚園の帰りの車の中で、
子供たちがクイズを出し合っていました。
その時、長男が「草はどうして枯れるでしょうか?」
と問題を出しました。
3歳の次男は「おくすり まいたから!!」
と即答しました。
長男は草は寒くなって枯れる事を頭の中でイメージしていたようですが、
次男は「人為的に草を枯らす事をイメージしたようです。」
どちらも決して間違った答えではないものの、
3歳の子供が≪草はお薬を撒いたから、枯れる≫
と答えた事に何とも言えないショックを受けました。
都会で暮らしている時は
自宅の周りが建物と道路ばかりでした。
緑があると言ったらベランダで育てている植物や
街路樹と小さな公園だけ。
緑が少ないので、当然除草剤とは無縁の生活でした。
都会に住んでいた時の私と同じように、
きっと都会の人は田舎で大量に除草剤が
使われているのを知らないと思います。
除草剤とは?
除草剤はその名の通り、草を枯らす薬です。
葉や茎を枯らす除草剤、
土の中に隠れた根を枯らす除草剤、
長期間効くものや、短期的な効果だけのものさまざまです。
また、草を枯らす原理も
呼吸系の阻害、光合成の阻害、
細胞分裂の阻害、植物ホルモンの撹乱など
除草剤の種類によって違います。
なぜ除草剤を使うのか?
それは「楽に草を殺せる」からです。
除草剤を撒きさえすれば、やがて草が枯れる。
草刈りをする手間が省けます。
しかし、除草剤を撒く人たちが
怠けているわけでは決して無いのです。
田舎は年々、少子高齢化、過疎化が急速に進んでいます。
平均年齢70歳以上の集落は田舎に行けばたくさんあります。
私有地だけではなく、集落の土地もそこに住む人たちで
守っていかなければなりません。
昔は石垣の間から生えてくる草や木を
手や機械で刈っていました。
しかし過疎化と高齢化によって、
人手や体力が足りずに草刈りができなくなってきています。
しかし、石垣を手入れしなければ、
石垣が崩れてくるかもしれない。
石垣が崩れたら、土砂災害が起こるかもしれません。
そこで楽に草を殺せる除草剤が使われるのです。
石垣だけではありません。
私が住む集落にも、集落で管理しなければならない
広大な土地があります。
今までは年に数回、集落の人が集まって草刈りをしていましたが、
高齢化と人員不足の為、先月から除草剤を使い始めました。
先月のある日、家の外に出たら、
すぐ近所で集落の役員の人たちが除草剤を撒き始めていました。
軒先で遊んでいた子供たちを急いで家の中に入れて、
洗濯物を家の中に入れ、窓を閉めました。
とてもショックでした。
そこは子供たちがよくミミズを捕っっていた草むら。
自宅に近い場所だけは
「自分たちで草を刈るので除草剤を撒かないで欲しい。」
と伝えて、除草剤を撒かれずに済みました。
田舎の家は畑や田んぼ、庭など自分で管理しなければ
ならない土地がたくさんあります。
自分一人の力で集落の土地までは到底管理できません。
自分の無力さを痛感しました。
過疎化が進む地方では合併されて
閉校になった小学校があちらこちらにあります。
閉校になったグラウンドを管理する時も除草剤を撒きます。
田舎の人は、本当に草に悩まされているのです。
草が生えてると、虫がわく、
育った草の種が飛んで農地に雑草を増やす。
風通しが悪くなる。
などの理由で、
草をそのままボウボウに放置しておくわけにはいきません。
草をきちんと管理していないと
ご近所さんにだらしない人とレッテルを貼られてしまいます。
放置しっぱなしでいると、誰かが見かねて、
草刈りをしたり、除草剤を勝手に撒くこともあります。
田舎の人も「除草剤は体に悪い」と思っていますし、
土地が悪くなるのも何となく感じています。
「除草剤を使い続けると年をとって身体に堪える」
と除草剤を撒きながら言ってる人もいます。
アメリカでは大手農薬メーカーのモンサントが
販売している除草剤を使っていた為に、がんを患ったという
男性が賠償を求めて裁判を起こしました。
そして、先日男性側の訴えが認められ、
モンサント社に320億円支払うように命じる評決を裁判所が出しました。
この男性が使用していた農薬は「ラウンドアップ」という
農薬で、日本でもよく使用されています。
しかし、土地を管理しなければならない人たちは
自分の体やその土壌の事よりも
代々受け継がれてきた土地を荒らすわけにはいかない。
つまり、見た目が荒れてないようにするのに必死です。
過疎化と高齢化が進む地方では
◎土地の広さに対して、土地を管理できる人員が
急激に減っている事
◎除草剤を使った後、目で見れる影響(害)が
無い
事が除草剤を多用する原因だと思います。
最近は安全な除草剤といった事を売りに
販売されている除草剤、種類も様々で、
実際にどのくらい土や身体に影響するのかわかりません。
しかし、除草剤の取扱説明には
散布する際は必ずマスク、ゴーグル、ゴム手袋で
身体を完全覆って散布しなければならないと書かれています。
これが果たして安全なのだろうか?と疑問に思います。
特に土いじりが好きな子供には除草剤を撒いた場所では
身体への害が心配で遊ばせられません。
過疎化が進む集落の未来
過疎化の集落の未来はどうなるのだろうか?
それはこれから人生を築いていく若者が
どれだけの人数が田舎を選ぶかによって変わってくると思います。
田舎に住む人口が減少していくと、
管理していた土地が管理できなくなり
やがて限界集落から廃村になっていきます。
石垣が壊れ、家も植物に覆われ朽ちていき
村ごと自然に還っていくかもしれません。
私が住む場所にも山奥に5年前に廃村になった村があります。
日本の人口減少はリアルに田舎で感じることができます。
廃村になった村の土地を知らない間に
外国人が購入して、法的に占領するかもしれません。
実際に北海道では中国人が土地や水源を買い占めている
と聞いたことがあります。
(気になる方はNEWSポストセブンの記事に詳しく載ってます。)
→中国人が日本の領土を爆買い
わたしの住む場所でも以前、
中国の企業が水源地の土地を購入しようとしたそうです。
その時の町長が水源地を守る条例を発令したため
中国人に水源地を占領されずに済みました。
田舎での暮らしは人間が自然に寄り添って
生きていかなければなりません。
時には自然が牙をむき出してくることもあります。
しかし、それ以上の物を私たちに
常に与えてくれるのも自然です。
若い人たちがもっと田舎に興味を持ち、
田舎の人口が増えて、除草剤を撒かなくてもよい田舎。
子供がたくさん居る活気ある豊かな田舎。
いろんな価値観の人が楽しく暮らせる田舎。
があちらこちらにある日本になったらいいなと思います。
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