私が都会から田舎に移り住んで
とても驚いたことがあります。
それは町内運動会です。
東京に住んでいた時はそんな行事は
参加したこともなければ、聞いたこともありません。
私が学生時代過ごした、福岡では
町内運動会はありました。
その行事に参加していたのは
小学生以下の子供とその保護者だけで、
それ以外の人は参加してなかったような気がします。
しかし、私が住んでいる田舎の町内運動会は
子供の有無や年齢に関係なく、
住民誰もが参加する町内運動会です。
参加者の8割が70歳以上の運動会
引っ越してきてすぐ、隣人のおじさんから
年に一度、集落の運動会があるから、
参加するように言われました。
強制参加では無いですが、
人口がどんどん減っている田舎では
若い人は貴重な戦力になるので
出ないわけにはいきません。
その運動会は私たちが住む町全体で
行われるのではなく、
町を10か所に区域分けして、
10か所それぞれが同じ日に
別々の会場で運動会を行います。
私が住むエリアは山奥で世帯数50軒程の集落です。
人口の約8割が70歳以上の超高齢化地域。
この地域の中で、エリア別に4チーム作ります。
私の所属するチームは世帯数10軒で住民が約30人程。
このチームで他のチームと戦います。
いったいどんな運動会になるのか??
9月に入ると集落の月当番の人が
「運動会の寄付金を集めて居るから、寄付して下さい。」
と自宅に集金に来ました。
寄付額は一口2,000円からで、寄付をした口数分だけ
運動会終盤に行われるクジ引き大会の抽選権がもらえます。
運動会が一週間後に迫ったある日、
運動会のプログラムと参加する競技のリストが配布されました。
プログラムを見て驚いたのが
玉送りや、玉入れ、宝探しゲームなど、
60歳以上限定の競技がいくつもありました。
そして小学生以下の競技はかけっこのみ。
それもそのはず、運動会の参加者8割が70歳以上なので、
当然と言えば当然です。
チームの得点対象外の自由参加できる競技がいくつかあるので、
競技に出たければ、年齢問わずにその競技に出れます。
その他のプログラムは
瓶立て競争、魚釣り競争、綱引き、リレーなど、
一般的な競技ですが、中にはゲートボールなど
私が今までやったことのない競技も含まれています。
昔はウナギバトンリレーを体育館でしたこともあるそうですが、
ウナギが滑って滑って、競技にならなくなり、
一回でウナギバトンリレーは無くなったそうです。
景品がとても実用的
9時から小学校のグラウンドで始まる運動会。
もし、当日雨で延期だったら、
朝7時に町内放送で延期になる事が放送されます。
その日は無事に晴れたので、
いよいよ町内運動会の始まりです。
集落の人たちがチームごとに分かれて並んで、
グラウンドを行進してから、運動会の開会式が始まります。
開会式では町長や部落長のあいさつ、実行委員長の
あいさつ、国旗掲揚、ラジオ体操、注意事項などを伝えて
いよいよ競技のスタートです。
競技参加者はチームのゼッケンを着て参加します。
どの競技もみんなとても楽しそう。
本気で競技に参加するというより、
楽しい時間をみんなで分かち合う事を楽しんでいます。
そして競技に参加したら、競技ごとに景品がもらえます。
景品はラップやジップロック、町指定のゴミ袋、
軍手、洗剤など、どれも実用品ばかり。
60歳以下の若い人は年齢が制限されている競技以外は
フル参加で競技に出るので、運動会が終わるころには
かばんの中は景品でいっぱいです。
競技の一番の盛り上がりは綱引きで、
この競技ばかりはどのチームも本気で挑みます。
最後にじゃんけん大会とくじ引きの抽選会があり、
くじ引きの景品はゴミ袋やバケツ、竹ぼうきなど
これまたとても実用的。
中にはテレビや高圧洗浄機、はしごなど
1万円以上の高額商品が入っています。
50世帯ほどしかいないので、高額商品が
当選する確率が非常に高いです。
午前中にすべての競技が終わり、
閉会式をもって運動会は閉会します。
隣の地区の運動会は午前、午後と2部あるそうです。
同じ町内でも競技内容も開催時間も
その地区独自で決めているので、
運動会の内容が全く違います。
同じ町内でこういった運動会が
同じ日に10か所で同時開催されているなんて、
都会では考えられないことだと思います。
チームで打ち上げ
運動会終了後、チームごとで打ち上げ会があります。
チームと言っても、皆さん隣近所の方々ばかり。
お酒を飲みながら、世間話や集落の行事の
ことなどを話し合います。
田舎に来て、驚いたのがこういった隣近所の人たちが
集まって食事をする機会が年に2回ぐらいはあることです。
都会では隣人やご近所さんは赤の他人、
全く関係を持たない事が多いと思いますが、田舎は違います。
お葬式の時はご近所さんが祭壇を用意したり、
お手伝いをするのが当たり前。
神社やお寺の掃除、祭事など、みんなで協力してします。
そうした伝統を受け継いでいく為にも
日頃からコミュニケーションを持つように
しているのかもしれません。
きっと、都会から来た人はご近所さんとの密度に戸惑い、
田舎での生活が嫌になるかもしれません。
私も田舎に引っ越してきて来てしばらくの間は、
その事が慣れずに嫌だと思う事はありました。
しかし、田舎に住んでいるうちに次第と人と自分の
距離感をうまく保ちながら、コミュニケーションを
取る術がなんとなく分かるようになってきました。
それも、こういった食事会が定期的に
あるおかげかもしれません。
まとめ
私が住む町の町内運動会は
「共楽運動会」と呼ばれています。
この文字の通り、参加者は共に楽しみながら
運動会に参加している様子が伺えます。
地域の住民同士がスポーツを通して
年齢に関係なくコミュニケーションが取れる
町内運動会は田舎にとっては
必要な行事なのかもしれません。
しかし8割が70歳以上の運動会。
10年後にはいったいどうなっているのか・・・
活気がある楽しい田舎にしていく為には
やはりもっと移住者が増えて欲しいなあと思いました。
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